Google アナリティクス

Googleウェブマスター

2012年10月13日土曜日

日本の財政の現状を知る 財務省の「日本財政関係資料」(平成24年度予算 補足資料)より

日経BPnetでのお金見直し応援隊の記事「消費税はなぜ上がるのか? 借金大国ニッポンの「財政事情」を理解し現実を直視しよう」(税理士 中村健二、2012年 10月13日付)では日本の財政の現状(問題)について図表等も用いてよく整理がされていて、分かりやすく解説がされています。
記事URL: http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20121012/326696/?P=1

内容要約:
(*図表は財務省の「日本財政関係資料」(平成24年度予算 補足資料)が参照されていますので、合わせて見ると理解が進むかと思います)
「日本財政関係資料」(平成24年度予算 補足資料):
http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/sy014_24_06.pdf

①日本の国家収入の内訳
平成24年度(2012年度)の国家予算について、歳入内訳について表が引用されています(「日本財政関係資料」P2)。

日本の平成24年度の国家予算の総額は90兆3339億円。
うち、税金でまかなわれているのは42兆3460億円と全体の46.9%。税外収入(固定資産の売却など)の3兆7439億円を合わせて全体の51%と全体の約半分です。
半分の44兆2440億円は国の借金である国債で賄われている。国債のうち、「赤字国債」は38兆3350億円(*1)。

②債務残高の国際比較
「債務残高の対GDP比を見ると、90年代後半に財政の健全化を着実に進めた主要先進国と比較して、我が国は急速に悪化しており、最悪の水準となっています。」とされ、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダと比較した時系列表が掲載されています(「日本財政関係資料」P15)。

日本の対GDP比での債務残高は右肩上がりで、2012年に対GDP比債務残高は219.1%と主要先進国中最悪の水準となっていることが分かります。次いで対GDP比債務残高が悪いのはイタリアですが、2012年で128.1%と日本の半分程度の水準です。

*「債務残高対GDP比」とは、国や地方が抱えている借金の残高を国内総生産(GDP)と比較して考える指標です。経済規模に対する国・地方の債務の大きさを計る指標として、財政の健全性を図る上で重要視されます。(「日本財政関係資料」P2)

③主要国における一般政府総債務/家計金融純資産(「日本は個人の貯蓄など金融資産が多くあるから大丈夫?」)
主要国における一般政府総債務/家計金融純資産(2009年)が示されています(「日本財政関係資料」P20 参考4)。
簡単に言うと、「「個人の貯蓄÷政府の借金」」となります。
日本は91.1%と、アメリカの40.6%、イギリス43.0%、ドイツ58.8%、フランス73.5%と比較して最悪の水準にあります。
「つまり仮に「政府の借金を個人の貯蓄で返済する」とした場合、他の諸外国と異なり、その余裕はほとんどない」と指摘されています。(*2)

④貯蓄率と一般政府総債務/家計金融純資産の推移(頼みの「貯蓄率」ですら、長期的には減少傾向)
貯蓄率と一般政府総債務/家計金融純資産の1990年から2009年までの推移が示されています(「日本財政関係資料」P20 参考3)。

日本の貯蓄率は1991年に15.1%を記録した後、減少に転じ、2008年には2.2%にまで下がっています。家計金融純資産に対する一般政府総債務の割合は増え続けており、1990年の43.1%から2009年には91.1%と増加。

⑤日本の公債残高の推移
昭和40年から平成24年までの公債残高の推移です(「日本財政関係資料」P11)。表には「我が国の公債残高は、年々増加の一途をたどっています。平成24年度末の公債残高は709兆円に上ると見込まれていますが、これは税収約17年分に相当し、将来世代に大きな負担を残すことになります」とコメントがされています。

日本の公債残高は年々増加の一途をたどっており、平成24年度末には709兆円に上る見込みです。

⑥公債残高の増加要因
平成2年度末から24年度末にかけての公債残高増加額約530兆円が歳出の増加要因(+約232兆円)と税収等の減少要因(+約190兆円)で示されています(「日本財政関係資料」P12)。

平成2年度末から24年度末にかけて増加した公債残高は約530兆円。
「税収等の減少」を要因としたものは190兆円⇒バブル崩壊後の景気の低迷や度重なる減税などにより税収が減少したことが主な原因
「歳出の増加」を要因としたものは232兆円⇒近年では、高齢化の進行等に伴い増加しているのが、年金、医療、福祉、介護などに充てられる「社会保障関係費」の影響が大きい

⑦日本の支出の内訳
平成24年度の歳出内訳が示されています(「日本財政関係資料」P1)。

一般会計歳出総額は90兆3339億円。
平成24年度の予算で最も多くを占めているのは、⑥の社会保障関係費で26兆3901億円で全体の29.2%。
次いで、地方交付税が16兆円。
過去の借金返済と利払いが21兆9442億円と全体の24.3%を占めている。うち元本の返済に当たる債務償還費は12兆896億円。44兆円余りの新たな借金をして、返済はわずか12兆円余り。
記事では、「これでは公債残高が増えるのは当然」と指摘されています。

⑧社会保障給付費と社会保険料収入の推移
社会保障給付費(自己負担見合いを除く年金の受給額や医療・介護の給付額)と社会保険料収入(国民が支払っている社会保険料)の推移が昭和50年から平成21年まで示されています(「日本財政関係資料」P31)。

年金や医療・介護の給付額がうなぎ上りに増加。平成21年度にはほぼ100兆円が支出。
社会保険料収入は、平成3年頃までは、社会保障給付費と社会保険料収入はほぼ同じように増加し、その差額を埋め合わせる税負担はあまり発生しなかった。しかし、この頃から社会保険料収入が伸び悩むにもかかわらず社会保障給付費は増え続け、多くの税負担が必要となっている。

⑧国の一般会計歳入・歳出における社会保障関係費の割合
国の一般会計歳入・歳出における社会保障関係費の割合が
平成2年度と平成24年度の国の一般会計予算の比較で示されています(「日本財政関係資料」P32)。

平成2年度と平成24年度の予算を比較すると、歳出の伸びの大きな部分を社会保障関係費が占めている。

*増え続ける社会保障関係費、伸び悩む社会保険料収入、その差を税金で埋め合わせる、税収の落ち込み、国債増加という構造的な悪循環となっています。

⑨プライマリー・バランス(PB;基礎的財政収支)(国を運営するために必要な経費は68兆3897億円。これを税収でどれだけまかなえているか)
財政の現状(PBマイナス)、PBが均衡した状態、財政収支が均衡した状態の説明の表が示されています(「日本財政関係資料」P22)。

プライマリー・バランス(PB)とは、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれだけ賄えているかを示す指標。日本の現状は、政策的経費が税収等を上回り、PBは赤字となっている。
プライマリー・バランスが均衡したとしても、借金の利払費分だけ債務残高は増加していく。そこで債務残高を増加させないためには利払費を含めて財政収支を均衡させる必要がある。

記事では、これらの状況を見て、「現在の経済と財政を前提にすると、プライマリー・バランスの赤字はGDPの6%、消費税1%がGDPの0.4%の税収なので、プライマリー・バランスを均衡させるためには単純にいうと消費税をあと15%上げなければならない。しかも、それではまだ財政収支は均衡しない。財政収支を均衡させて債務残高を増加させないためには、さらに5%近くの消費増税が必要となる。「消費税率25%」も、決してあり得ない話ではない」と指摘がされています。
解決策は、経済成長などにより税収を増やすことと、歳出をカットすること。
消費税の増税の背景は、「現在の社会保障の水準を守るためには、国には絶対的にお金が足りない」ので、「高齢者なども含め、「広く」負担を求めようとする」ためであるとし、「現実を直視して、これからの「社会保障と税」について関心を持っていこう」と読者に訴えかけています。

(*1)
日本の国家財政の基本を定めた財政法では、第4条において、建設国債という公共工事などに充当する場合にのみ国債を発行を認めています。これは、建設国債であれば、公共工事など将来にメリットを残すので国債発行(=借金)という形で将来に負担がかかっても容認できるという考えからです。
建設国債でない、財政赤字を補填するために発行される国債を「赤字国債」といい、特例公債法を毎年制定することにより赤字国債を発行するという手続きがと取られます。一時的に赤字を補填するだけで国民に対して後世に残らない経費という考えからです。1994年から2011年まで赤字国債を発行するために毎年制定され続けています。
なお、ねじれ国会下による与野党対立のため、2012年度法案は9月に入っても成立しない事態となっています。
2012年10月13日、IMFは諮問機関である国際通貨金融委員会(IMFC)を都内で開き、今年度予算の財源を確保する赤字国債発行法案の早期成立と、中期的な財政再建の進展が欠かせないという声明が出されています。

(*2)
国家があらゆる徴税権を行使して国債の返済原資にされ得る担保が家計の個人資産となります。
なお、日本では個人金融資産が多いので国債の資金の調達のほとんどが国内で賄われているのは、家計の個人金融資産が銀行や郵貯を通じて国債の購入に回っているためです。
記事では、消費税増税という切り口ですが、日本の家計の個人資産の多くは高齢者が保有しており、相続税の増税も進められていく懸念があります。

【関連記事】
・2012/8/23 消費増税でも日本は増税・かなり突っ込んだ社会保障費の抑制が必要(伊藤元重教授の警告、2030年の日本の社会保障の制度について、年金の支給年齢引き上げ、医療費負担の増加、相続税増、高齢医療費改革、さらなる増税)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/blog-post_9924.html
・2012/8/15 日本の国債相場が安定している理由(日本証券経済研究所の中島将隆氏の小論文「日本の国債相場を支えているものは何か」より)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/blog-post_6211.html
・2012/8/20 消費増税 待ったなし(大和総研チーフエコノミスト 熊谷亮丸氏)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/08/blog-post_661.html
・2012/9/2 消費増税でも財政収支はマイナス、国の対GDP債務残高は改善せず
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/gdp.html
・2012/9/25 橋下氏の維新の会の経済政策 構造改革で日本経済復活なるか
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/09/blog-post_1730.html

0 件のコメント:

コメントを投稿