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2012年10月29日月曜日

投資信託の販売現場で強引な営業 高齢者とのトラブルが増加中


独立行政法人・国民生活センターが2012/7/28に公表している「年々増加する投資信託のトラブル-元本割れなどのリスクを再確認し、トラブルの未然・拡大防止を-」では、全国の消費生活センターに寄せられる投資信託に関する相談についての報告がされています。
URL: http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120726_1.html
報告書PDFのURL: http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20120726_1.pdf

相談件数は2011年度は1,792件となり、2007年度は929件から年々増加傾向にあります。
「2012年2月には投資信託に関する監督指針の改正が金融庁により行われており、今後は消費者トラブルの増加傾向に歯止めがかかることも期待されるが、投資信託の市場規模は非常に大きく、消費者トラブルの件数自体も非常に多いのが現状」とされています。

相談内容別分類としては、「契約・解約」(契約自体や解約が問題になっているケース)に関する相談が最も多く全体の約8割、「販売方法」(勧誘時の販売方法が問題になっているケース)に関する相談が多くなっています。
「販売方法」に関する相談の割合は年々増加傾向にあります。

相談の具体的な内容ごとの割合で最も多いのは、「勧誘時や契約時に商品の仕組みやリスクの説明が十分でなかった」などといった「説明不足」で全体の35.8%、次いで、「投資信託の契約をしたが解約したい」などといった「解約全般」、以下、「元本割れ」「強引」「返還」という順序になっています。
1位の「説明不足」に関する相談について、さらに内訳を分析すると「解約全般」「元本割れ」に関するものが上位にあがっており、これらの事例を見ると「元本割れをするとは説明されなかった」「元本保証ではないという説明がなかった」などといった相談が多くなっています。
後で「説明と違う」、「聞いてなかった」といったものが多いようです。

相談者の年齢は、70 歳以上が全体の約半数、さらに60歳代を加えると全体の約8割で、高齢者に集中しています。
また、契約当事者は60歳以上の高齢者が多く、契約金額の平均が1,000万円を超えていることも投資信託に関する相談の特徴となっています。

主な相談事例が9つ紹介されています。
事例と内容の要約は下記のようになっています。

(1)説明不足や説明内容に関するもの
【事例1】元本保証と言って「ノックイン型」の投資信託を勧誘された
⇒定期預金よりも利率の高い金融商品があり、しかも元本保証と言われ投資信託を紹介された。後に、株価が下落した際に「株価が一定の金額以下になると元本保証はなくなる」と説明、そのような説明は契約時には聞いていないし、「元本割れの可能性がある」と聞いていたら契約していないとして、補償を求めたい。

【事例 2】分配金が倍になると言われて「通貨選択型」の投資信託を契約したがやめたい
⇒通貨選択型で為替ヘッジのある投資信託を契約。目論見書などは契約後に渡され、後で読んでみるとリスクの高い商品であることが分かった。翌日解約したいと申し出たが、すでに契約書にサインしているので解約できないと言われたが、納得できないので解約したい。

【事例 3】「毎月分配型」の投資信託を契約したが説明と異なる点があり解約したい
⇒定期預金をする予定で銀行に行ったところ、「分配は必ずある」と言われ 投資信託を契約。後から資料に目を通していたら、分配金を出すために元本が減っていくと記載があったが、そのような説明は受けていない。話が違うので解約したい。

【事例 4】家中の資金を集め投資したが、思っていた以上に元本割れし納得できない
⇒毎月分配金が約○万円もらえると、銀行窓口で投資信託を購入するよう勧められた。分配金はもらっているが、元本割れもあり現在の元本は大きく減っている。リスクの説明はあったが、こんなに元本が割れるとは想定していなかった。投資目的の金融商品はそれまで購入したことがなく、予想外の損害額に納得できない。

【事例 5】戦争が起きない限り元本は絶対大丈夫、と言われ契約したが説明と違った
⇒定期預金をする目的で銀行に行った際に、「戦争が起きない限り元本は絶対大丈夫。保証する」などと何度も説明を受け投資信託を契約。その 1 年後、解約しに行ったら大幅に値下がり。、最初の説明と全く違い、だまされたのでないかと思う。

(2)適合性に関するもの
【事例 6】認知症高齢者が仕組みを理解せずに契約したが取り消したい
⇒要介護認定と認知症の診断を受けている高齢の母が、証券会社で投資信託などを契約。母は全く仕組みを理解していない。契約書などは見つからないし、いつから取引をしていたのか分からない。契約を取り消したい。

(3)勧誘方法に関するもの
【事例 7】窓口で勧誘され根負けして契約したが解約したい
⇒定期預金の手続きをしに銀行の窓口へ行ったら投資信託を勧められた。元本割れすると説明されたので、元本保証でないのは嫌だと何度も言ったが、1 時間くらい粘られ、根負けして契約してしまった。解約したい。

【事例 8】自宅に何度も来訪され断れずに契約したが解約したい
⇒何度も来訪や電話で勧誘され、契約しないと伝えたが「変なものは勧めない」などと言われ、結局押し切られてしまった。

(4)解約自体に関するもの
【事例 9】言われるままに契約したが解約に応じてもらえない
⇒株を売買していたに証券会社の担当者が来訪し、株を売って投資信託を購入したほうが良いと勧められ、分かりやすい説明もなく言われるままに契約。

こういった事例からの問題点は、
(1)元本保証ではないこと等リスクについての説明が十分ではない、もしくは契約をする消費者にとって十分ではない。分配金が運用益からではなく、元本を取り崩して支払われることの説明が不十分。「戦争でも起こらない限り大丈夫」も「かたい商品」「プロが運用しているから大丈夫」などといった抽象的な説明をされているケースは、消費者が適切に商品のリスクを認識できないまま契約に至り、トラブルになるおそれがある。
(2)商品自体が複雑で、そもそもリスクの内容等を認識できない。投資信託では契約金額が高額であることも多く、中には本人のリスクの許容度を超えた損失になるおそれもあり、先行きに不安をかかえる高齢者にとって生活の根幹をゆるがしかねないような過大な損失を被るケースも。
(3)認知症高齢者などのように判断能力が不十分な消費者による契約。特に一人暮らしだと、契約している事実が家族や周りの人にも気づかれにくい場合も。
(4)断っているのにしつこく勧誘され、仕方なく契約してしまうこともあり、解約トラブルになることがある。
(5)解約に応じられないというケースも(一定期間は解約を認めないクローズド期間が設けられていないにも関わらず「3 カ月は解約できない」など事実と異なる説明を行っているケースや、「クーリング・オフできないと言われた」という相談があるがそもそも投資信託の契約には金融商品取引法上のクーリング・オフの制度は適用されない
(6)銀行窓口販売の特徴と問題点
①特徴:定期預金など投資信託の契約を元々の目的としていなかった消費者がトラブルに遭っている
②問題点:消費者が望んでいる商品性と一致していない(元本割れへの要求が極めて高いのに元本割れリスクが生じる投資信託の勧誘)
と整理がされています。

消費者へのアドバイスとして、
(1)投資信託は預貯金とは異なり元本保証ではないことを改めて認識し、販売員の説明内容を十分に確認する(確実に元本が保証された商品を希望するのであれば、投資信託の契約は避ける)
(2)リスクや仕組みを十分に理解できず、リスクの程度を適切に測ることができなければ契約しない
(3)自分の収入や資産状況を十分に考慮し自分が許容できるリスクの範囲内で契約する
(4)契約する前に解約条件についてもあらかじめ確認しておく
(5)トラブルにあったら消費生活センターに相談する
といった点が挙げられています。

(関連記事)
2012/10/29 投資信託の販売規制強化 金融庁 投資信託に関する監督指針の改正(平成24年2月)
http://moneyneta.blogspot.jp/2012/10/242.html

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