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2012年10月11日木曜日

IMF、日本の金融機関の国債保有の拡大に懸念 「銀行部門と財政部門の相互依存のリスクが高まっている」

ロイター記事(2012/10/10)「国際システムの信頼感ぜい弱、邦銀には国債保有リスク=IMF報告」、WSJ(2012/10/10)の記事「日米にセーフヘイブン・リスク-IMF、邦銀の国債保有拡大にも懸念では、」IMFが2012/10/10に発表した金融安定報告(GFSR)で、邦銀の国債保有拡大への懸念が示されていることを伝えています。
GFSRは、IMFは年次総会開幕を機に発表した金融安定リスクに関する報告書。
ロイター記事(2012/10/10): http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE89900R20121010
WSJ記事(2012/10/10): http://jp.wsj.com/Economy/Global-Economy/node_526696

ロイター記事より:
「財政問題を抱える米国と日本については、今はユーロ圏危機を背景とする質への逃避の受け皿になっているが、中期的に財政健全化への一段の取り組みが必要と指摘」している。

WSJ記事より:
・ユーロ危機の逃避先として日米の国債が買われており、10年物政府債(国債)利回りは最近 数カ月間、日本では0.75%、米国では1.5%をいずれも下回っている水準にある。
・ユーロ圏が現在の危機を鎮静化させる一方で、日米両国の政治家が財政引き締めを怠り、金融システムにリスクを転化した場合に、資本流入の逆転が生じることとなると、日米両国の金利は上昇し、両国経済全般にトラブルが生じる恐れがある。
・預金機関の資産に占める日本国債保有比率が2011年の24%から17年までに30%に達すると予想され、「国内銀行システムにおける国債リスクの集中拡大は日本における金融安定上の懸念の核心だ」と指摘がされている。外国の買い手を誘引するため、国内金利が十分高く上昇すれば(つまり債券相場が十分に低くなれば)、それは手持ちの日本国債の価値が低くなるため銀行のバランスシートにストレスになる。
・日本の金融機関について、弱い融資需要の中で国債保有を拡大しており、利回りの急上昇に最もぜい弱だろうと警告。
・邦銀の中で最もぜい弱なのは、収益性の低さやマージンの低さにあえいでいる日本の地銀だ。IMFの算定では、利回りが1%上昇すれば、地銀にとって自己資本ティア1の20%の評価損をもたらし、17年には26%に達する恐れがある
・報告書は、日本はリスクを緩和できるだろうとしている。例えば、銀行の定期的なストレステスト(特別検査)やリスク評価を増やしたり、最低自己資本比率を引き上げたり、地銀業界の強化を促したりすることでリスクは緩和できるだろうと勧告している。


IMF
国際金融安定性報告書(GFSR), 2012 年 10 月(PDF): http://www.imf.org/external/japanese/pubs/ft/gfsr/2012/02/pdf/sumj.pdf
「ユーロ圏の危機の進行により、より安全と見なされる国、特に日米への資金の流入が起きている。このため国債金利は歴史的な低水準となっているが、第二章で指摘するように日米とも財政面の大きな課題を抱えている。米国については迫りつつある「財政の崖」と債務残高の法定上限到達、及びそれらに伴う不確実性が当面の大きなリスクである。中期的には、持続不可能な債務動向となるリスクが最大の問題である。日本については巨額の財政赤字と未曾有の債務残高が問題であり、銀行部門と財政部門の相互依存のリスクが高まっている。いずれの国についても、中期的な財政健全化の道筋を付け、これを遅滞なく実施に移すことが必要である。ここ数年の経験から学ぶべきことは、市場が信用リスクを問題にし始めるかなり前から不均衡是正に向けた対策をとらなければならないということである。」

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