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2013年3月1日金曜日

債券市場、為替市場、株式市場が全く別々に動いている理由(藤沢数希氏より)

金融ブロガーの藤沢数希氏がアゴラ「量的緩和と株式投資家のバカの壁」(2013/3/1)に寄稿し、アベノミクスで為替は円安、株価は上昇、債券は低金利が続いているという現象をユニークに解説しています。
記事URL: http://agora-web.jp/archives/1521896.html

「市場の期待で円は安くなり株価は上昇した。衆院選を控えた昨年11月ごろの日経平均は8600円程度だったので、自民党への政権交代が期待され、そして実際に自民党政権になってからの3ヶ月の間に日本株は30%以上も上がった」。
債券市場、為替市場、株式市場が全く別々に動いているのは実に興味深いことで、なぜ株価が上がったのか、なぜ日本国債の長期金利が低いままなのか、そして今の株価は高すぎるのかどうかという視点を、債券市場、為替市場、株式市場のそれぞれの観点から藤沢数希氏の考えが示されています。

①株価が上がった理由
・企業業績が改善されたというよりも、安倍総理のアベノミクスによるところが大きいというのが大方の見方
・仮にデフレ脱却が成功し、マイルドなインフレが起こると予想するならば、まず長期金利が上昇するはず。「実質金利 = 名目金利 - 期待インフレ率」なので、名目金利は実質金利+インフレ率となり、インフレ予想でダイレクトに決まってくる
・しかし、名目金利は逆に低いままで、ついには長期金利は0.7%を下回ってしまって、歴史的に最低になっている。
・理由は簡単。債券市場の投資家はプロばかりで、量的緩和に意味が無いことがよく分かっているのだ。だからアベノミクスで何も変わらないことを知っている。ゼロ金利下で、日銀がいくら銀行から短期国債を買っても、それは銀行が持って寝かせておいた国債が、寝かせておく現金に変わるだけで、実質的に何も変わらない。

②為替が円安になった理由
・為替トレーダーは心理学の世界である。ファンダメンタルズは重要だが、ファンダメンタルズの理論で分かることは、1ドル50円だったら円は高すぎだし、1ドル150円だったら安すぎだろう、ということぐらいだ。
・為替市場では、日本の個人投資家(ミセス・ワタナベ)などの大量の素人トレーダーが取引している。こうした集団の心理を予想して、プロのトレーダーは取引している。つまりアベノミクスで円安になると多くの集団が予想すると予想すれば、円を売る理由になるのだ。

③株価が上がった理由
・株式市場の投資家は、この中では一番知能が低い。日本でいえば、数学なしの受験で私大の文系大学に入学したような人たちだ。
・株式投資家たちは、量的緩和というのは、中央銀行がやる日本円の株式分割であると理解した。
・残念ながら、数学なしの受験で私大に入ったような人たちが主役の株式市場では、未だにゼロ金利政策と量的緩和の区別が付いている人はほとんどいない。だから流動性の罠などといわれても、全くもって分からない。こうして債券市場の投資家が全く相手にしていなかったアベノミクスが、株式市場では大いに効果を発揮したのである。
・日本株のファンダメンタルズを見ると、すでに割高の水準になってきている。アメリカや世界の株式市場のPERは15倍程度で、新興国にいたっては10倍ちょっとにも関わらず、日本株のPERは20倍である。明らかなバブルとはいえないまでも、すでに日本株はちょっと割高である。

④これから、どうなる?
・結果的に、量的緩和の誤解によって、日本経済は好転するのかもしれない。やはり株価が上がると、みんな気分がいいのである。
・これからは規制緩和や構造改革の気運を再び高めることによって、日本の底力を上げ、先行する株価に追いつくようにしてもらいたい。それができなければ、かつての民主党政権のように、早晩に株価も支持率も下落することになろう。
・最後に大事なことを言っておくと、確かに株式投資家は債券投資家よりも勉強はできないが、一方で、勉強ができる債券投資家が間違っている可能性もある。なんせ、あのサブプライム住宅ローンが入った金融商品の利回りを計算していたのが、金融工学や数学や物理学でPhDを取った債券投資家の人たちなのだから。細かいことは分かっていても、大事なことが分かっていない可能性がある。日本の財政破綻が本当に起こるとしたら、正しいのは株式投資家の方だったということになる。


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・2012/9/19 外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々(藤沢数希/著)読後の感想
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