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2014年11月2日日曜日

GPIFが基本ポートフォリオ変更へ 国内債券 35%、国内株式 25%、外国債券 15%、外国株式 25%

年金積立金管理運用独立法人(GPIF)は、2014年10月31日に「基本ポートフォリオ」の新たな配分比率の目安を諮問。塩崎恭久厚労相がこの運用改革案を承認し正式に発表した。
GPIFは、厚生労働省から寄託された厚生年金や国民年金の積立金約127兆円を運用する。

2014年3月末時点で126兆5771億円。資産構成比では、国内債券が55.43%、国内株式16.47%、外国債券11.06%、外国株式15.59%、短期資産1.46%。

2013年6月7日に変更された現行の基本ポートフォリオからの変更は下記の通り。
国内債券 60%→35%(±10% )
国内株式 12%→25%(± 9% )
外国債券 11%→15%(± 4% )
外国株式 12%→25%(± 8% )
短期資産  5%→- (注)
(注)運用体制の整備に伴い管理・運用されるオルタナティブ資産(インフラストラクチャー、プライベートエクイティ、不動産その他運用委員会の議を経て決定するもの)は、リスク・リターン特性に応じて国内債券、国内株式、外国債券及び外国株式に区分し、資産全体の5%を上限。
また、経済環境や市場環境の変化が激しい昨今の傾向を踏まえ、基本ポートフォリオの乖離許容幅の中で市場環境の適切な見通しを踏まえ、機動的な運用ができる。ただし、その際の見通しは、決して投機的なものであってはならず、確度が高いものとする。

市場参加者の声(Bloombergより)
・「新基本ポートフォリオの国内債比率は40%程度に決まるというのがコンセンサスだっただけに35%なら低い印象」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊債券ストラテジスト)
・「国内株式もコンセンサスより高い。内外リスク資産投資を増やすことから、為替は円安に振れやすい。企業業績との状況から考えると、国内株は下値リスクが無くなり、日経平均1万5000円割れの可能性が低くなった。海外投資を増やすことから、海外株にはプラス」「新たな目安が今年度中なのか、3年先の中期なのかでマーケットへの影響は変わってくる。長期目標なら国内債の償還を待ちながら新規投資を抑えれば、債券市場への売り圧力はそれほど高まらない。現在も日銀が国債を買っていることから、大きな影響にはならない。償還を待ちながらその資金を国内株や海外株・債券に配分するということなら、マーケットに追加的影響は出にくい」(野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジスト)
・「期間をどうみるべきかは分からないが、来年度末までの16カ月程度を想定するのであれば、月間1%ポイント程度のウェート引き下げとなり、保有債券の償還分を考えても、月間の売却額が1兆円超に達することになる。市場で吸収可能な範囲内ではあるものの、やや負荷を感じる規模かもしれない」(SMBC日興証の森田氏)

公的・準公的資金の運用・リスク管理を見直す政府の有識者会議が2013年11月に国内債偏重の見直しやリスク資産の拡大を提言するなど、GPIFは保有の大半を占める国内債の削減と収益向上を求められていた。
○平成25年11月 報告書(公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/koutekisikin_unyourisk/houkoku/h251120.pdf
・国内債券を中心とする現在の各資金のポートフォリオについては、デフレからの脱却を図り、適度なインフレ環境へと移行しつつある我が国経済の状況を踏まえれば、収益率を向上させ、金利リスクを抑制する観点から、見直しが必要
・デフレ脱却を見据えれば、今後は、当該目標が現在より高い水準となる可能性もあり、こうした点を踏まえて、適切に収益目標を設定する必要
・リスク許容度については、過去の損失データに基づくリターンの振れ幅をベースに設定した上で、一定のモデルを用いたリスク計測や、シナリオ分析などにより、フォワード・ルッキングな(先行きを見据えた)検証を実施することが望ましい

厚生労働省 平成26年10月31日
年金積立金管理運用独立行政法人の中期目標の変更及び中期計画の変更の認可について
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000063368.html
~年金積立金管理運用独立行政法人中期目標より抜粋~

○運用の目標
保険給付に必要な流動性を確保しつつ、長期的に積立金の実質的な運用利回り(積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたものをいう。)1.7%を最低限のリスクで確保することを目標とし、この運用利回りを確保するよう、年金積立金の管理及び運用における長期的な観点からの資産構成割合(以下「基本ポートフォリオ」という。)を定め、これに基づき管理を行う
○ベンチマーク収益率の確保
各年度において、各資産ごとに、各々のベンチマーク収益率(市場平均収益率)を確保するよう努めるとともに、中期目標期間において、各々のベンチマーク収益率を確保する
○運用手法について
長期保有を前提としたインデックス運用等のパッシブ運用を中心とする。例外については、これまでの運用実績も勘案し、適切に確たる根拠を説明できる場合に限るものとする

~年金積立金管理運用独立行政法人中期計画より抜粋~
○基本ポートフォリオの基本的考え方
年金積立金は巨額であり、市場への影響に配慮する必要があること、長期的には市場は概ね効率的であると考えられること等から、各資産ともパッシブ運用を中心とする。なお、アクティブ運用は、これまでの実績を勘案し、運用受託機関の選定に際して運用の手法、実績及び体制等を精査し超過収益確保の可能性が高いと判断される場合等に限り行うものとする。
また、ベンチマークをより適切なものに見直すなど収益確保や運用の効率化のための運用手法の見直し及び的確なパフォーマンス管理を行うなど運用受託機関等の選定・管理の強化のための取組を進めるとともに、運用実績等を勘案しつつ、運用受託機関を適時に見直す。

11/4午前の参院予算委員会にて
塩崎恭久厚生労働相は、「分散投資によってリスクを最小化しながら必要な利回りを確保する」との考え方のもとで、GPIFが新たな運用方針を決めた。
また、「安全かつ効率的に行う」、「デフレから脱却して緩やかなインフレ状態になる場合は金利の上昇が想定される」とし、「仮にGPIFの運用資産約130兆円を全額国内債券で運用したとすると、1%の金利上昇で約10兆円の評価損が発生する」と指摘。「どうやってリスクを最小化するかが最も大事になる」と説明しています。


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