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2016年2月27日土曜日

投資環境マンスリー 2016年3月号(三菱UFJ国際投信)

三菱UFJ国際投信の投資環境マンスリー 2016年3月号がリリースされています。

ポイント:

①米国 個人消費中心の緩やかな景気回復を予想
・サンダース氏とトランプ氏が優勢となれば、金融市場や対中関係の悪化が懸念され、不安定要因となる可能性がある。

②英国 BREXIT – 現時点では不透明なことが多すぎること、これがリスク
・ブレグジット(BREXIT)とは、現在EU(欧州連合)政界で最も使われる言葉で、英国のEUからの離脱を意味する造語。
元来EUには離脱のルールが存在しない。一方、英国内もBREXITを実現させる道も未整備なうえ、目的も見えない。2月後半の為替市場における英ポンド下落も、すべてが不透明、まさにこれがリスクとして認識され売り込まれたと見られる。

③日本 マイナス金利は実体経済への即効性よりも、円安反転による収益改善に期待
・マイナス金利の定着で配当利回りに着目した株式への資金流入も期待か

④オーストラリア 資源安の一服で通貨底打ちの可能性も
・比較的良好な経済環境のもと、原油安に歯止めがかかれば、豪州の利下げ観測後退や国際的な金融市場安定で、豪ドルは対円や対米ドルで緩やかな上昇が期待されそう

⑤中国 景気安定の確証はいまだ得られず、不動産市況の回復基調が一段と強まるかが注目

⑥為替 米国悲観論の修正に伴い円相場も安定へ、ただし不安定な原油・中国動向には要注意
・足元の円高ドル安は、米国株安に代表される世界的なリスク回避色の強まり、さらにそれが米国利上げ期待(ひいては日米金利差拡大期待)のはく落につながったことが主因と考えられる

2016年2月26日金曜日

米国で広がるフィンテックの主なサービス 投資・資産運用分野ではロボアドバイザーのサービスも広がる

金融×ITのFintech(フィンテック)分野が注目を集めています。フィンテックは金融(Finance)とテクノロジー(Technology)を掛け合わせた用語です。
金融庁も2015年12月から、「FinTechサポートデスク」を設け、フィンテック関連ベンチャーなどから新規事業についての相談を電話で受け付け、法律面で問題がないかなどを回答する仕組みを作りました。金融庁は2015年の事務年度の金融行政方針で、国内のフィンテックの動きに速やかに対応するため、民間企業とも協力する方向性を示していました。
日本でも電通国際情報サービスが主催で金融イノベーションビジネスカンファレンスFIBCといったイベントも毎年開かれています。

フィンテックの分野とサービスは、世界経済フォーラムの研究では将来的な実用化に向けたテクノロジーも含め、①決済システム、②資金調達サービス、③銀行・融資サービス、④投資・資産運用、⑤保険、⑥市場インフラの 6 つの分野をフィンテックの中心としており、さらにその中で 11 のサービスが既存の金融サービスに影響を及ぼすイノベーションを生み出しているということです。
○決済システム
・キャッシュレス決済:モバイルペイメント、複数の支払い口座の統合サービス
・電子決済テクノロジー:暗号通貨、電子通貨、P2P 海外送金
○資金調達プラットフォーム
・クラウドファンディング:スマート人材雇用、投資評価
○銀行・融資サービス
・代替融資サービス:P2P 融資、SNS を活用した信用情報(クレジットスコア)
・顧客のニーズへの対応:複数の銀行口座へアクセス可能なプラットフォーム
○投資・資産運用
・投資家向けサービス:ロボットアドバイザー、ソーシャルトレーディング、アルゴリズム取引
・金融企業向けサービス:クラウド、アナリティクス、企業間取引支援
○保険
・保険対象の変化:シェアリング・エコノミー、自動運転車
・コネクテッド保険:IoT やウェアラブルデバイスを活用した保険
○市場インフラ
・市場プラットフォーム:データの自動収集とアナリティクス
・テクノロジー:人工知能、金融情報の自動解析、SNS 上の情報の感情分析

先行する米国では、ニューヨークのフィンテック関連ベンチャー企業への投資額は、2012 年に 2 億 1,100 万ドルだったものの、2014 年には 7 億 6,800 万ドルにまで急拡大しています。
内訳は、融資サービスへの投資が全体の 47%と約半数を占めており、続いて投資関連(15%)、決済サービス(13%)、資産運用(11%)、保険(1%)と続いているようです。
ニューヨークを代表するフィンテック企業には以下のような企業がいます。(図は「ニューヨークだより 2016年2月」 p7より)


資産運用系では、Betterment、LearnVest、BillGuardが挙げられています。
投資・資産運用分野では、様々な投資・資産運用サービスの自動化や、投資の知識を共有するソーシャルトレーディングなどの分野で注目が集まっています。個人投資家の資産運用を自動で行うロボットアドバイザーや、マーケット情報を基に株式や外国為替の自動取引を行うアルゴリズム取引などです。

(参考レポート)
米国におけるフィンテックに関する取り組みの現状(ニューヨークだより 2016 年 2 月)より
http://www.ipa.go.jp/files/000051015.pdf

アメリカでロボアドバイザーのサービスを提供している新興企業はベターンメント(Betterment)とウェルスフロント(Wealthfront)が知られています。
⇒2010年にニューヨークで「テククランチ・ディスラプト」会議を開始したベターンメント
⇒シリコンバレーを本拠とするウェルスフロント
・ユーザーはオンラインやモバイルアプリケーションを通じてリスク許容度や年齢、所得、目標などを入力する。アルゴリズムがこれに基づいて投資商品を提案する。低コストの上場投資信託(ETF)のバスケットの場合が多い。アルゴリズムは定期的に資産配分を見直し、節税目的で損失を確定したりもする。
・ロボアドバイザー企業が請求する年間手数料は運用資産の0.5%かそれ未満のこともある。フルサービスの証券会社は少なくとも1%は徴収する。年間リターンが同じなら10万ドルの投資で、20年間に5万ドル以上も差が付く。
・ロボアドバイス業界の運用資産は来年末には3000億ドルに達する見込み。2012年にはほとんどゼロだった。
・銀行幹部らは人間のアドバイザーが近い将来ロボットに取って替わられるとは思っていない。富裕層は相続や税金、その他アルゴリズムでは対応不可能な複雑な金融取引についてのアドバイスを必要としているからだ。

(参考記事)Bloomberg(2015/11/09)資産運用ロボットがやってくる-BOAのアドバイザー軍団に合流
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NXEFCM6KLVRW01.html

Wealthfrontの特徴:
自動で資産運用を行うロボットアドバイザーのサービスを提供している。口座開設の際に、ユーザーが回答したアンケートとプロフィールからリスク許容度を分析し、自動で資産運用を行う。追加投資した場合などに投資バランスを調整するなど細かい投資を行う。現在、20 億ドルの資産を運用している
(「ニューヨークだより 2016年2月」 p12より)

2016年2月25日木曜日

黒田東彦日本銀行総裁に聞く マイナス金利導入の背景 と反対意見

朝日新聞「黒田日銀総裁、マイナス金利の真意 一問一答」(2016/2/24)にて、黒田東彦日本銀行総裁へのマイナス金利導入の背景をインタビューした記事が掲載されています。

主な内容は下記の通り。
*全般的に「教科書的」な回答が窺えます。

・2016年1月の相場変動を受け(原油価格下落、中国・新興国・資源国の不透明感、世界的に株・為替変動)
(人々が将来も物価が下がり続けると思う)デフレマインドの転換が遅れるリスクが高まっていたので、従来の大規模な金融緩和に加えて導入した。
マーケットがリスクを過度に回避する傾向が続いている気がしますが、日本の経済や物価に与える影響はしっかり見ていく。

・政策効果の狙い
イールドカーブの起点を下げるとともに、従来の大量の国債の買い入れを続けることで、短期から長期まで金利の水準全体を引き下げることが狙い。狙い通り、企業向け貸し出しの基準となる金利や住宅ローンの金利が下がっている。これから設備投資や住宅投資などが増え、経済にプラスの影響が出てくると考えている。

・預金金利への影響は
預金金利はもともと非常に低い水準まで下がっており、預金者の不満は、それが若干、引き下げられたということ。これに比べると、住宅ローンなどの貸出金利の低下の方が下げ幅も経済全体への影響もずっと大きく、企業や家計にとってはプラスになると思う。

・人々は不安になってお金をせっせとため込み、投資や消費に慎重にならないか
そういう懸念は持っていない。マイナス金利政策は我が国では初めてで、いろいろな意見が出ていることは承知している。だが、貸出金利を引き下げ、投資や消費にプラスの影響を与えることを狙っている点では、これまでの大規模な金融緩和と基本的に違いはない。企業向け貸し出しは伸びており、今後も同様に前向きな効果が出るとみている。
預金金利と残高の関係についてはいろいろな研究があるが、基本的には金利が下がれば預金が減るのがふつうで、預金が増えるということはあまり考えられない。

・追加緩和(マイナス金利の引き下げ)
さらなる引き下げには、十分な余地がある。ただ、マイナス金利にすること自体が目的ではない。経済や物価の動向を無視してマイナス幅を拡大することはない。
個人の預金金利がマイナスになることはないと思う。欧州でも四つの中央銀行が、日銀より大きなマイナス金利にしているが、個人の預金金利はマイナスになっていない。

また、日銀の黒田東彦総裁は2月25日午後の衆院財務金融委員会では、「預金金利の低下幅は小さいが、貸し出しの基準となる金利や住宅ローン金利ははっきりと低下している」「今後設備投資や住宅投資に好影響が及び、国民生活にとって必ずプラスになると確信している」と発言しています。一般消費者への影響として、上記と同様に、「預金金利がマイナスになることはない」と述べています。

一方、日経記事(2016/2/25)では、マイナス金利導入の投票に反対票を入れた木内登英審議委員は、マイナス金利は「資産買い入れと整合性がない」と批判しています。国債売却後の資金運用利回り低下により金融機関が日銀に国債を売却しづらくなるため。
マイナス金利と資産買い入れを両立する欧州は、買い入れ規模など日本とは環境が異なるため「必ずしも参考にならない」という。金融機関が「預金者や与信先にコストを転嫁する可能性がある」として、逆に金融引き締め効果をもたらすとの懸念も示している。
基本的スタンスとして、2%の物価上昇は「現行の日本経済の実力を上回る」として、無理に物価を押し上げれば悪影響が及ぶとの懸念すら示しており、「経済の実力に見合ったペースで回復を続けられる政策運営が重要」で、副作用をもたらしかねない大規模な金融緩和はむしろ縮小させるべきだとする立場とされています。

(関連記事)
日銀のマイナス金利導入の背景と反対意見(2016/2/10)
マネーの知恵(仮)(2016/1/23) 下げ相場の時にこそ考えたい「投資の出口」

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相続税対策に搬送する富裕層 純金小分け、タワマン、孫を養子に

相続税が増税されている日本で、富裕層の相続税対策もまた脚光を浴びています。そのような富裕層の対策を追った記事です。

朝日新聞(2015/9/12)「その6億円、税金ゼロで息子さんに…」 節税ブーム
http://www.asahi.com/articles/ASH966G1JH96ULFA00L.html
記事要旨
・純金を100グラムに小分け
「小さなバーにしておけば贈与の場合も売る場合も便利。そりゃ(税金を)意識しています。税務署とは仲良くしないといけませんから」
・タワマン、時価と評価額の落差を「活用」
男性は6億円で株式会社をつくり、銀行から4億円借りて計10億円を用意。そのお金で、東京の六本木や赤坂などのタワマン物件を5戸購入した。息子には、その物件を所有する会社の株式を贈与した。贈与税は「0円」。息子は時価10億円の不動産を持つ会社のオーナーになり、実質的に父の財産を受け継いだ。

息子はそのまま不動産オーナーでいてもいいし、時価の10億円で売れれば、銀行にお金を返しても6億円近い現金を手にできる。物件価格が下がるリスクはあるものの、父親は「まるで錬金術。親も子も救われました」と振り返る。
・孫を養子に
祖父の法定相続人は配偶者の祖母と、実子の娘2人だったが、全員の同意のもとであえて孫に遺産を集中させた。家を継げる男性が孫以外にいなかったこともあるが、相続税を減らす狙いもあった。
祖母や娘を経由して孫に遺産が相続されると、相続税も複数回納めなくてはならないが、祖父から養子への相続なら1回の納税で済む。「孫養子」と呼ばれる手法

このやり方にはリスクもある。親族間の同意がないまま孫養子に遺産相続が集中すれば、別の遺族の遺産の取り分が減り、トラブルに発展しかねない
野村資本市場研究所の宮本佐知子・主任研究員の推計では全国の相続資産の規模は2030年にかけて年間60兆円に達し、総額1千兆円規模の資産が動き出すという。金融機関などは「巨大な市場」とみて節税指南に力を入れる。
少しでも税金を減らし、より多くの財産を子に残したいというのは親としては自然な思いかもしれない。だが、税制の裏をかくような行き過ぎた節税が広がれば、公平な社会に必要な「富の再分配」の機能が骨抜きになってしまう。

金融庁 会計監査の在り方に関する懇談会(第1回)議事要旨

金融庁 会計監査の在り方に関する懇談会(第1回)議事要旨 平成27年10月6日
http://www.fsa.go.jp/singi/kaikeikansanoarikata/index.html

金融庁にて会計監査の在り方に関する懇談会が開催され、下記のような意見が出されました。

・まずは質問がある。製造業などにおける製造委託先に対する部品の有償支給に関して、売上が原価に対して何倍にもなっている取引がある場合に、監査人から何も指摘がないということがなぜ起こるのかがよく分からない。監査人の判断の基準について少し伺いたい。
・内部統制に関して言うと、会社が組織ぐるみで不正を行うと、会計監査では全く分からないと言われるが、分からないはずがない。工事進行基準にしても、在庫の評価にしても、全てリスク・アプローチで想定される伝統的な論点で、内部統制で全く分からなかったということが平然と言われること自体が大問題であると思っている。
・工事進行基準に関して言えば、工事1つ1つがどんな状況であるかについて、会社の中の工程会議等で刻々議論・報告されているわけであり、これが会計監査で分からないというのであれば、もう会計監査を全てやめたらいいのではないかと思うほどである。
・会計不正があると、監査人の監査のやり方に全てフォーカスが向いてしまう傾向があるが、巨大な企業を監査していて、内部統制にも依拠しているわけであるから、正しい決算書を世の中に出すということは、会計監査人だけが使命としてやらなくてはならないことではなく、もちろん財務諸表をつくる企業もそうであるし、企業の中で様々な活動を監視する監査役も重要な役割を果たすであろうし、株主・投資家の眼も大事だと思う。
・特に日本の現行の会計士試験制度は誰でも受験できるような制度になっており、十代の合格者も出てきている。そのような試験に強い若者を否定するわけではないが、やはりきちんとした教養やビジネス感覚があり、一定の社会常識を備えていなければ、企業のミドルレベル以上の方達と丁々発止の議論はできない。特に経営トップの方とそれなりの議論を重ねていくためには、年齢だけではないと思うが、それなりの知見と知識がなければ相手にしてもらえないのではないか。財務、経理を担当される上場会社の方々の中には、非常に優秀な方がおられる。少し言葉は悪いが、そういった方々が、5、6年程度の経験の会計士を手玉にとるのは簡単なことではないかという気がする。
・現在、ITを駆使した取引の全件チェックといった手法について検討が進められているところであり、国際監査基準ではまだそういったものは出ていないのでかなり踏み込んだ議論にはなるが、こうした手法も検討しなければならない環境になってきているのではないか。この懇談会でも環境の変化に対応する監査とはどういうものなのかというところに知恵を出していきたいと思う。
・監査の現場についてお話したいが、基準がかなり飽和状態になっている、あるいは何か事故があると要求事項がどんどん積み重ねられていくということで、手続的に増えているのが実態だと思う。特に期末の監査の手続が増大している中、決められた決算期間の中で監査を終えるのが普通の対応であるので、期末の監査に相当の負荷がかかっているということになると思う。この監査の環境についても、是非議論していただきたいと考えている。
・関与会計士の力量はものすごく大事だと思う。要は、市場を守る責務をきちんと果たせるのかどうかというのが一番大きなところである。何か問題があったときには不適正意見を書かなければならないということではあるが、そういう力量のある会計士が少なくなっているのではないのかという疑問が今、持たれているわけであり、これにどう対応したらいいのか。単に公認会計士を総入替えすればいいという話ではないので、どうしたらいいのかというのが1つあるのだと思う。
・会計不正を監査で発見できなかった事例があったためこのような議論をしているわけだが、実際には、監査をしているときに不正を発見した、あるいは、不正でなくても、会計処理の間違いに気が付いて経営者を説得し、正しい財務諸表を世の中に出したという例はある。確か公認会計士協会で調査をして、1,000人ぐらいの会計士に聞いたところ、過去10年に2回ぐらいはそういったことに遭遇しているとのことである。そういった意味で会計監査が機能している面もやはりあるとは思う。
・監査について、投資家はきちんとやっていて当然だと思っている。投資家からみると監査の具体的な中身がよく分からない中で、専門的な視点のみから改善したと言われても納得し難い面もあるかもしれない。是非外部からも分かるような方策についても議論していただきたいと考えている。

2016年2月10日水曜日

日銀のマイナス金利導入の背景と反対意見

日銀のマイナス金利導入について、1 月 29 日の公表文では、導入理由を下記の通りに挙げています。

①原油下落や新興国の先行き不安が背景となって、企業のコンフィデンスの改善や、人々のデフレマインドの転換の遅延を起こすリスクがあるので、その顕在化を未然に防ぐ。
②原油下落の影響などから2%程度の達成は、2017 年度前半頃にずれ込む。
それに伴って、金融機関収益への悪影響が考えられるので、
③短期国債などに現れる限界的な金利はマイナスにしつつも、金融機関の収益圧迫がないように配慮。

反対意見では、実名入り意見と、主な意見に登場してきた意見を列挙すると、次の通りになる。
白井委員:マイナス金利導入は、資産買入れの限界と誤解される。
石田委員:これ以上のイールドカーブの低下は効果が乏しい。
佐藤委員:マイナス金利導入ならば、マネタリーベース増加の縮小を併せて実施すべき。
木内委員:長期国債の買入れを不安定化させる。
主な意見:すでにマイナス金利を採用する他国中銀とのマイナス金利競争に陥る懸念。
主な意見:金融機関の収益悪化などの問題があるため、危機時の対応策のみ妥当。
主な意見:経済・物価基調は悪化しておらず、追加緩和は正当化できない。

第一生命経済研究所・経済調査部の熊野氏は、副作用にこだわっていてはいけないという決断を見て取っています。
同氏によると、日銀が重視したのは、
(1)マーケットに金融政策の限界をみせてはいけないので行動する、という原則である。
結果的に、
(2)サプライズを起こして影響力を与えるために、副作用の大きさよりもマーケットへの心理的インパクトを重視した。
そして、
(3)過去の議論との一貫性よりも、どれだけ効果が見込めそうかという可能性を手に入れる方
がよいと考えたのだろう、とのこと。

(参考)
BOJ Watching 2016年2月8日
主な意見:割れた意見、マイナス金利~執行部は反対意見を押し切った~ 
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/macro/2015/kuma20160208BOJ.pdf


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2016年2月7日日曜日

国税庁に主力の30代職員が不足 中途採用を強化

国税庁が30代の職員が足りず中途採用に励んでいるそうです。
日経記事によると税務調査や徴収業務の中核を担う30代の職員が少なく、現場から「働き盛りが不在」との声が上がっているとのことです。30代は通常、主任級職員として税務調査などの中核を担うが、人事課担当者は「働き盛りの不在を40代と20代で埋めている状況で機動力が落ちている」ということで、税務署長を務めたOBは「将来管理職が不足する恐れもある。放置すれば税務行政全体に影響する」と危惧しているようです。



















日経(2016/2/6付)「国税庁 30代足りない 調査や徴収担う中核、中途採用枠10倍以上に」より

背景は、同庁人事課は「終戦直後の大量採用の反動」と説明しています。
国税庁の職員は国家公務員。このうち税務調査などを担当する国税専門官は試験にパスした後、3カ月間の基礎研修を経て全国12カ所の国税局・事務所に配属されます。同庁によると、国税職員は全国で約5万4千人(昨年4月時点)。うち40代が全体の33.6%を占めるのに対し、30代は17.8%と半分ほどしかいないとのことです。
国税庁は1949年に旧大蔵省(現財務省)の外局として創設された。全国に税務署を配置し税務調査などを行う体制を整えるため、大量採用を行った。しかし反動で54年以降の採用を大幅に抑制。この時期の採用者が定年退職した94年からの10年間は退職者の数も少なく、新規採用数を控えざるを得なかったということです。

国税庁はこれまで10~20人程度だった社会人採用を来年度は約200人に拡大。採用先も全国の国税局に広げ、転職イベントにも積極出展する計画です。
「お堅い印象がありますが税務調査はチームワークが大切。結束力ある職場です」。2016年1月29日、東京都内で開かれた転職イベント。人事課の職員らが仕事の魅力を懸命にアピールしている様子が伝えられています。

国税専門官は国家公務員ですので、その月額給与は国家公務員の税務職俸給表に沿って支給されます。国税専門官は俸給表おいて「税務職」の給与が適用されます。国税専門官を含む国家公務員は勤務年数に応じて、基本的には毎年昇給します。それに加えて職務内容や役職によっても給与は変動します。
国税専門官(税務職)の平均年収は、28歳以上32歳未満で443万円、36歳以上40歳未満で632万円、44歳以上48歳未満で792万円、52歳以上56歳未満で893万円となっています。(人事局 国家公務員給与概要より)

国税庁経験者採用試験(国税調査官級)の概要では、4月1日において、大学等を卒業した日又は大学院の課程等を修了した日のうち最も古い日から起算して8年を経過した者が受験対象となっています。

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